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第10回 東京都 JR青梅線 小澤酒造
「東京にも酒蔵があるんですよ」と言うと、驚かれる方がほとんど。たしかに「大都会東京」のイメージからは想像がつかないかもしれません。ところが、都内には10の酒蔵があるんです。そこで、「ローカル線に乗って酒蔵巡り」最後のコンテンツは東京で締めたいと、東京の郊外、青梅市にある酒蔵、小澤酒造さんをお訪ねしました。
地図 東京都 JR青梅線 小澤酒造
青梅線は立川駅から奥多摩駅まで多摩川沿いに続く線路。周辺には登山やハイキングの名所がたくさんあり、私が乗った電車もリュックを背負った人たちでにぎやか。皆さんどちらの山に登られるのでしょうね。

私は青梅線沢井駅で下車。なんと無人駅です。駅舎らしいものもなく、跨線橋だけが存在している駅でした。昭和4(1929)年に駅ができたときは、青梅電気鉄道だったそうですよ。その後昭和19(1944)年に国有化され、国鉄青梅線になったとか。そしてその後JRに。この山間ののどかな駅から徒歩数分。坂道を下ると白壁の蔵がたたずんでいました。
跨線橋だけの小さな駅、沢井駅。 白壁が鮮やかな小澤酒造。
小澤酒造は、創業元禄15(1702)年といいますから、かれこれ300年以上の歴史を誇る酒蔵です。元禄15年は赤穂浪士討ち入りの年。以来営々とお酒を造り続けて来られたのですね。今回案内してくださったのは、普段は麹を仕込んでいるという製造部の方。「元禄時代にできた蔵、元禄蔵の他、明治蔵、平成蔵があります」と、各蔵を案内してくださいました。
創業当時から建つ元禄蔵には当時の梁もがんばっていて、歴史的にも価値の高い建築だとか。樹齢300年を超える杉の木桶ももろみを発酵させるために活躍していました。
どっしりと構える木桶。 秩父古生層から湧き出る井戸水で仕込みます。
仕込み水は、中硬水の「蔵の井戸」と、川向こうにある軟水の「山の井戸」から引いていて、使い分けているそうです。中硬水は鉄分やマンガンといった不要な成分が少なく、有機物をほとんど含まず、逆にミネラル分が多いため、辛口のおいしいお酒ができるとか。140mも掘られた洞穴の奥の井戸から引かれていました。

そもそも地名の「沢井」は、豊かな名水が沢となって流れていることからつけられた名前。駅の名前にもなっています。この奥多摩の名水がうまし酒を醸すのですね。
「蔵守」は古酒。15年以上も熟成されているものも。 主要銘柄は「澤乃井」。
主要銘柄は「澤乃井」。中でも「大辛口」は、きりっとした力強い味わいで辛口党に大人気だとか。訪ねた1月は福袋も販売していて、「大辛口」も入っていました。
福袋には、人気の「大辛口」や木のおちょこも。 名水で豆腐も作っています。
小澤酒造には売店や休憩所もあり、ハイキング帰りに寄る人も多いそうです。「きき酒処」もあり、さまざまなお酒を楽しめます。その他にも豆腐料理屋の「ままごとや」や「櫛かんざし美術館」など、楽しめる場所があり、いつの季節に訪ねても満喫できます。周囲を散策するだけでも楽しい場所。1日かけてのんびり訪ねてはいかがでしょうか?

小澤酒造

元禄15(1702)年創業の老舗。主要銘柄は「澤乃井」。
JR青梅線沢井駅から徒歩5分。澤乃井園で当日申し込みすれば毎日4回酒蔵見学ができる(月曜休業)。試飲も可能。近隣にはお食事処もあり、1日楽しめる場所。

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JR青梅線

東京都立川市の立川駅から東京都西多摩郡奥多摩町の奥多摩駅を結ぶJR東日本路線。多摩川左岸に沿って走る。
当初は青梅電気鉄道が敷設した私鉄だったが、戦時買収により国有化され、民営化に至る。


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