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第3回 埼玉県 秩父鉄道 武甲酒造
地図 秩父鉄道 武甲酒造 梅雨の晴れ間、武甲山は荒々しい岩肌を見せていました。
石灰岩の採れる山。
そのため古くからセメントの材料が採掘され、それらを運ぶために秩父鉄道が引かれたそうです。
秩父鉄道は三峰口から羽生までを走る鉄道。その要所要所にセメント工場があるのです。
秩父駅は地場産業センターも兼ねた近代的なビルでした。 ちょうど、SL「パレオエクスプレス号」が走っていました。
今回は、秩父鉄道の秩父駅から徒歩5分の武甲酒造柳田総本店さんを訪ねました。
江戸中期から260年以上も営々と続く酒蔵です。秩父駅ができたのが大正6(1917)年ですから、「秩父駅の近くに酒蔵を造った」のではなく、「酒蔵の近くに秩父駅ができた」というわけです。
蔵の中には井戸が。容器持参で水を持ち帰ることが出来ます。 歴史を感じる門構え。 築190年を越える店舗は国の登録重要文化財に指定されるほど。

ご主人は13代目。秩父を愛し、秩父の活性化に力を注ぐ町の名士です。
「酒造りで大事なのは仕込み水。うちの井戸は『平成の名水100選』にも選ばれた武甲山の伏流水で、中硬水のミネラルをたっぷり含んだ水。やや辛口のお酒を造っています」と、内井戸のある酒蔵を案内してくださいました。

代表銘柄は「武甲正宗」。ほとんど地元で消費されるそうです。 特長は、「酵母も自分たちで造っていること」。ずらりと並んだタンクで仕込まれたお酒から生み出される銘柄は10数種類にも上ると言います。
「さまざまなお酒の中から、つまみに合ったものをぜひ選んでいただきたい」とご主人。武甲酒造さんでは、香りの高いもの、コクのあるもの、さっぱりしたものなど料理に合わせたお酒が選べます。「にごり酒とミルクを合わせると、女性に好まれるおいしいお酒になるんですよ」と、いろいろな飲み方も教えていただきました。

店舗には日本酒だけでなく、塩麹やメープルサイダー、ワインなど、さまざまな商品がずらり。
たとえばメープルサイダーは、秩父観光土産品協同組合が「地元の森林を活性化させたい」とカエデを植え、樹木から採れるシロップから造ったもの。ご主人は「秩父の97%が森林ですからね」とにっこり。


秩父鉄道とコラボした「鐵の道」 一般社団法人 「洸楓座」の呼びかけに応え秩父鉄道を応援しようと造った「鐵の道」(http://www.tetsunomichi.net/)という銘柄のお酒もありました。このお酒のラベルの文字は地元の高校生が書いたもの。
3月にはSLパレオエクスプレス号が「SLおとなの日本酒列車」に変身、「鐵の道」を飲みながら車窓を楽しめるという企画が開催され、大盛況だったそうです。
アニメ「あの花」のお酒 また、秩父を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」(8月31日より劇場版が公開)のイラストをあしらったお酒「あの花」も造っています。
「若い人がアニメを通じて秩父に関心を持ち、そして秩父のお酒も知ってもらえれば」—お話を聞けば聞くほど、「秩父への愛」が感じられました。
秩父鉄道沿線には、秩父三十四箇所の霊場や風光明媚な長瀞など、観光地もたくさん。その帰りにちょっと武甲酒造さんに寄って、おいしいお酒を選んでみてはいかがでしょうか?
ご主人も「秩父にこんなおいしいお酒があるんだと、ぜひ知っていただきたいです」とおっしゃっていました。日本酒列車がまた走るかもしれません。武甲酒造さんのfacebookの「いいね!」を押して、常に情報をチェックするといいですよ。

武甲酒造柳田総本店

創業宝暦3(1753)年。名峰武甲山の伏流水で仕込んだお酒の代表銘柄は「武甲正宗」。大吟醸、無濾過厳守、純米酒など、ラインナップがずらり。その他、にごり酒やたる酒を始め、うめ酒、ゆず酒などさまざまなお酒を造っています。
酒蔵見学は要予約。ホームページをご覧ください。

武甲酒造ホームページ

秩父鉄道

正式名称は秩父鉄道秩父本線。それは、セメント工場への線路「三ヶ尻線」があるから。秩父本線は埼玉県羽生から三峰口まで71.7kmを走る。セメントを運ぶために造られたこの鉄道は、大正11(1922)年には、東日本の私鉄として初めて電化されるなど、実は重要な路線であった。現在はSLが走り、鉄道ファンを魅了している。
秩父鉄道

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