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Interview

館林のオリーブ栽培㊦ 持続可能な農業を

2022.5.16

耕作放棄地問題に取り組む三田さん。オリーブを栽培するだけでは「持続」できないと製品開発・製造にも取り組んでいます。今回はその様子をお伝えします。

儲かる農業を

耕作放棄地が増えてしまう理由の一つに「儲からない」ことがあげられる。前回のコラムにもあるように特に稲作は消費量の激減と初期投資の大きさから利益がでにくい農業だ。

一方、オリーブオイルの市場規模はこの20年間で10倍に成長している。2018年の家庭用食用油の市場規調査によると、オリーブオイルはキャノーラ油を抜いて1位になった。 また、オリーブ栽培には特別な機材が必要ない。ジャングルデリバリーが搾油所として使用する店舗前には、前オーナーによって「植えられたまま」のオリーブの木が大きく育っている。

オリーブは捨てるところがないことも大きなメリットだという。実を食べる、オイルを作ることはもちろん、搾油後の絞り粕は飼料や肥料に、葉はお茶として飲むこともできる。食用以外に化粧品にも活用できる。利用範囲が広いことは利益の幅を広げることにつながる。

「命名権」や「収穫権」といった権利の販売も検討している。すでにシークワーサーの木は大学のゼミや化粧品メーカー、クラフトビール店などが「収穫権」を購入しているが、将来的にはこれをオリーブにも広げていく。

シークワーサー収穫権の看板

さらに、オリーブが吸収するCO2の量に関する研究が進めば「カーボン・オフセット」にも取り組めると意気込む。

生産から販売まで

儲からないことに加えて、もうひとつ農家を苦しめるものがある。「お金にする工程」だ。「収穫し、きれいにし、選別し、箱に詰めて、販売し、お金に変える、この一連の作業の難しさを、実際にやってみてはじめて知りました」。

そこで、ジャングルデリバリーはオリーブの商品化、販売までサポートすることにした。農家が生産したオリーブを買い取り、イタリアから取り寄せた搾油機でオイルにし販売する。オリーブオイルの中でも、エクストラバージンオリーブオイルは刈り取り後24時間以内に搾油する必要がある。館林は北関東の中心にあるため、近県で採れたオリーブの搾油地としては最適だという。

販売先も「値段を先に聞いてくるようなところとは取引しません」。オリーブオイルの品質を正しく評価してくれる人に、正しい価格で購入してもらう。

さらにお茶などの飲料、ペットフードなどの開発も行っていく。

オリーブオイルとオリーブ茶の試作品

新しい仲間とともに

「私たちは農家ではありません」と三田さん。耕作放棄地を使いオリーブを育てるモデルを作り、そのモデルを賛同する農家に伝授し広げていくことを使命としている。 オリーブの寿命は1000年だという。「耕作放棄地問題を解決し1000年続く大地をつくる」ことがジャングルデリバリーの想いだ。

ジャングルデリバリーは「オリーブの苗木ハウス」も持っている。キュウリ栽培のハウスを活用し観賞用、農業用など様々な種類の苗木を育てている。まもなくオリーブの育苗の第一人者が仲間に加わる。「さらに多くの種類の苗木を育てていきたい」と語る。

オリーブの苗木ハウス

日本ではまだまだ知られていないオリーブオイルの味。「ワインのように『私の好みはこれ』とオリーブオイルを語る人が出てくることも目標のひとつです」。

10年後、館林市はオリーブの一大産地になっているかもしれない。

COMPANY INFO

株式会社ジャングルデリバリー Web