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AMラジオがなくなる!?

2022.1.24

在宅勤務のお供に、車での移動中に、ラジオを聞いている方も多いのでは? AMラジオがなくなるかもしれないことをご存知だろうか。 昨年6月、全国の民放AMラジオ局が合同で記者会見を行い「2028年秋をめどにFM局へ転換」すると発表したのだ。

AMとFMの違い

そもそもAMとFMでは電波の特性が違う。AMは遠くまで電波を飛ばせる、山影でも電波が回り込みやすく山間部での受信もしやすいというメリットがある。一方で建物内では受信しにくく、他の電波の影響を受けやすいため、都市部では聞き取りにくくなる。また、AMの送信所は広い敷地が必要なため、川辺などに設置されることが多く水害に弱いというデメリットもある。

FMはAMに比べノイズが入りにくく、建物内でも聞こえやすい。ただ、山影への電波の回り込みが少なく、AMに比べると電波の届く距離が短い。そのため山頂や高い鉄塔の上に送信施設が必要になる。とはいえ、AMに比べアンテナが小型で安価。災害時の被害も比較的少ないとされている。

ワイドFM(FM補完放送)がきっかけ?

AM局は現在、FM放送も同時配信している。ワイドFM(FM 補完放送)と呼ばれるもので、難聴対策や災害対策を主目的とした総務省の政策だ。ワイドFMをはじめるにあたり、新たにFM 放送用として90.0~94.9MHzの周波数帯が追加された。

これがAM各局の負担増となったのだ。AMとFMの両方の施設への二重投資が必要となってしまった。ワイドFM用の送信設備の設置等には総務省からの補助金等もあるが、AM施設の更新費用にはそれがない。各局ともAM施設の老朽化が進んでおり、FMに比べ更新費用が高くなりがちなAMにまで投資を続けられないと判断したようだ。

2023年からAM停波の実証実験開始

とはいえ、現在の制度ではAM局がAM放送をやめてFM放送だけのラジオ局になることができない。日本民間放送連盟が制度改正を求めており、総務省は2028年をめどに制度整備をすすめる予定だ。2023年からAM放送の停波(休止)の実証実験も行う。この実証実験で地域や聴取者への影響を調査するとしている。

AM局すべてがFM局になるわけではないようだ。北海道のHBCラジオ、STVラジオ、秋田の秋田放送はAM放送を残すとされている。北海道は広大でFM波を全道に放送するためには多数の中継局が必要になり、コストが掛かりすぎるというのがその理由。秋田は山間部が多いためFM波は不向きと判断した。
またNHKは民間ではないためAM放送を継続する。

ワイドFMを聞くためには90.0MHz~94.9MHzに対応したラジオが必要になる。
聴取者にとっては新たな負担となるため、AM各局は対応ラジオをプレゼントするなど広報活動を行っている。インターネット経由でもラジオ番組が聞ける今、ラジオはどう変わっていくのか、注目だ。

HIGHLIGHT

2028年にAM放送をやめるAM局が登場する。すべてのAM局がなくなるわけではないようだ。