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中小企業と法令㊤ 経理関係の法改正

2021.12.6

企業規模に関わらず、経営には様々な悩みがつきまとう。売上をどう伸ばすか、コストをどう削減するか、資金調達は・・・などなど。法改正や商習慣の変化への対応も大きな課題のひとつ。今回は中小企業にとって気になる法改正をふたつご紹介。

インボイス制度

2023年10月1日に導入されるのが「インボイス制度」だ。正式名称は「適格請求書等保存方式」で「記載義務を満たした請求書」によって消費税を計算し納付する制度。

請求書や納品書には「的確請求書発行事業者」の「登録番号」が必要となり、これは事前に申請することで取得できる。ただし「登録番号」は売上が1,000万円以下の個人事業主や小企業などの免税事業者は取得できない。この点を問題視する向きもある。というのは「登録番号」がないことを理由に、取引停止をされてしまう可能性があるからだ。

仕入れる側(個人事業主や小企業のお客様)にとっては、「登録番号」のない事業者からの仕入れは「仕入税額控除」ができないというデメリットがある。そのため「仕事をお願いするなら登録番号のある事業者に」という判断がなされる可能性があるのだ。免税事業者は免税事業者のままで事業を続けるか、課税事業者となるかの判断を迫られることになる。

的確請求書発行事業者として登録できた場合は、請求書等のフォーマットの修正も必要となる。システム等の改修も視野に入れておく必要がある。

電子帳簿保存法改正

電子帳簿保存法も2022年1月に改正される。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類(帳簿、決算書、請求書など)を電子データで保存する際の要件を定めている法律。国税関係帳簿や書類は「紙での保存」が原則だが、保管コストや事務負担を軽くするため電子データでの保存が特例として認められていた。

主な改正点を見てみよう。

事前承認制度の廃止
これまで必要だった税務署長の事前承認が不要に。「電磁的記録での保存」と「スキャナによる保存」が可能に(届出制)なる。

スキャナ保存のタイムスタンプ要件緩和
スキャナで読み取ったデータへの「受領者の署名が不要」、「タイムスタンプの付与期限が2ヶ月」に(これまでは「自署」「3営業日以内にタイムスタンプ付与」)。

適正事務処理要件の廃止
スキャナ保存時の社内規定の整備や、データと原紙を照合しての定期検査、原紙保存が不要に。

検索性の要件緩和
電子データを保存するシステムの検索条件の数削減(必須項目が年月日・金額・取引先の3つのみに)。

罰則規定の強化
不正抑止の処置として、重加算税の加重措置が科されるようになる。通常の重加算税からさらに10%加重される。

これまでより要件が緩和されるため、中小企業の帳簿の電子化が進むとみられている。

HIGHLIGHT

「インボイス制度」「電子帳簿保存法の改正」は中小企業にとって気になる法改正。事前のチェックと準備が重要。