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Interview

社会課題へのチャレンジ(音響通信ものがたり㊦)

2021.5.17

離れていても一緒に戦える!(音響通信ものがたり㊤)の続きです。

オンラインライブやドラマに新しい魅力を付加する「音響通信(Another Track®)」。映画の世界でも活用されている。

一緒に見られる喜び

音響通信が活用されているのは映画のバリアフリー。

これまで聴覚や視覚に障がいのある人たちが映画館で映画を楽しむことは難しかった。 「字幕付きの洋画だけ映画館で見て字幕のつかない邦画は見ない」、「音声ガイド付きのDVDの発売を待つ」、「晴眼者に解説をお願いする」など肩身の狭い思いをした方も多い。

音響通信を使えば、こうした方々も「健常者と一緒」に映画を楽しむことができるのだ。

聴覚に障がいのある方向けのデバイスは「字幕メガネ」。メガネをかけて映画を見ると、数メートルぐらい先に「場面描写やセリフの字幕」が浮かんで見える。字幕メガネは購入することも、映画館で借りることもできる。

視覚に障害のある方にはスマホアプリの「音声ガイド」。映像を解説した音声が再生されるものだ。

スマホは使い慣れた自分のものでOK。映画ごとの「音声ガイド」データは専用アプリ内で映画館に行く前にダウンロードしておく。着信などで周りに迷惑をかけないよう、スマホは機内モードにして持ち込む。専用アプリを起動して、イヤホンをセットしたら準備完了。あとは上映を待つだけだ。

メガネもスマホも上映されているスクリーンからの音コンテンツに仕込まれた「人に聞こえない音の信号」を 受け取って動作するため、他の人には何の影響もない。

健常者も障がいのある人も「一緒のスクリーンで、隣の席でに同じ映画を見る」ことができる喜びは大きいと評判だ。

ポストプロダクションに負荷をかけない

どんなに良い技術でも広まらない技術がある。それは「手間がかかる技術」だ。その点「音響通信は上映環境やポストプロダクションに負荷をかけない技術」だと瀧川社長は語る。

先にも述べたが音響通信は「音」を使うため映画館に新たな設備は必要ない。「音」を再生すればいいだけだから特別な操作もいらない。
製作側もあらかじめ定められたフォーマットでコンテンツ(字幕・音声ガイド)を製作し事前に登録、音響同期に必要な調整をするだけ。同期調整は手順が整備されているので、難しい作業ではない。また、ここでも新たな設備・機材等の投資は必要ない。

大きな投資なしにバリアフリー対応ができることは映画界にとっても大きなプラスになる。
実際、国内の主要映画会社がこの取組に賛同しており、多くの国内メジャー作品や全国の映画館で採用されている。

「今はハリウッドでの採用を目指しています」と瀧川社長は意気込む。

チャレンジし続けること

音響通信は「最新技術」として紹介されることも多いが、実はエヴィクサーがこの技術の社会実装に取り組みはじめたのは2008年。10年越しの「最新技術」だ。
そしてこの10年「Another Track®」はバージョンアップし続けている。

最新のバージョンアップはオンラインライブ配信への対応だ。配信サービスは仕様がさまざまで、中には高い周波数帯域まで配信できないものがあった。最新の「Another Track®」には配信時の「圧縮や音域カット」に耐性をもたせることですべての配信サービスに対応した。

「できないものをできない、と断るのではなく『ニーズを教えてもらった』と考え対応する。設備・環境に順応してくことが重要」と瀧川社長は語る。

音響通信の活用の幅は広がっている。「え?これも音響通信だったの?」と驚く日が来るかもしれない。

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