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思いが形に。コロナ禍に生まれた異色のコラボTEE

2020.6.15

今や批判を受けることも多い都市「新宿」にある小さな居酒屋「大衆酒場ほしの」。コロナ騒ぎの中でこのお店をどうにかして応援しようと、アパレルブランド「WHO'S WHO gallery」がコラボTEE(Tシャツ)の販売を開始した。
思いに思いが重なったこのTシャツは異例の売れ行きで、増産をするほどだ。

企画した二人(林優太さんと伊東清和さん)にTシャツができるまでの「熱い思い」を伺った。

「WHO'S WHO gallery」はヤングカジュアル洋品のブランドだ。最先端でSmart(=上品)なスタイルをベースに、ストリートが持つFreedom(=自由)な発想を取り入れ、Creative(=創造的)な感性で独自にミックスした提案を世界に発信する。林さんはこのブランドのディレクター、伊東さんはデザイナーだ。

このブランドは大阪生まれ。店舗展開も関西を中心にしていたため、二人とも関西の出身。8年ほど前、新宿への初出店に合わせ店長として先に上京したのは、林さんだった。知り合いもいなければ土地勘もなく「毎日不安だらけだった」という。

このころに出会ったのが、現在は「大衆酒場ほしの」を経営するキヨさん(星野清彦さん)だった(当時は別のお店に勤務)。毎日のように通い、愚痴や弱音を吐き、アドバイスを貰った。「おかげで乗り越えられたんです」と林さん。

一方の伊東さんも数年後に東京本社へ異動に。「何もかもがわからなすぎて、林に連絡することすら忘れてた。」と笑う。
林さんに紹介され、伊東さんも「大衆酒場ほしの」に通うようになった。
苦しい時期を乗り越えて、現在はふたりとも原宿の東京本社で一緒に働いている。

そして巻き起こったコロナ騒ぎ。まだ若く関西出身の二人は「バブル崩壊」も「阪神淡路大震災」も「東日本大震災」ですら自分事にはならなかった。「初めて本気で怖いと感じた」のがコロナ騒ぎだったと口をそろえた。

毎日会っていた会社のメンバーとは半分しか会えない、外に出られない、不安な気持ちが募っていった。当時「大手チェーン以外の居酒屋は全部なくなっちゃうんじゃないの?」と本気で心配したという伊東さん。二人は自社の売上も心配だが、キヨさんのお店も心配だと気をもんでいた。

そこで思い出したのが半分遊びのように作っていた架空の店舗とSourcreamシリーズとのコラボTEE。「ZOZOTOWNで堂々と店舗のPRができるTシャツを売ったらおもろいな」と、デザインを考えていた。「これをキヨさんのお店で!」と意見が一致した。
「沈むのはうちのブランドのキャラじゃない。」と。

コラボTEEを作れば「キヨさんのお店にロイヤリティを払える」上に「着ればTシャツ自体が宣伝媒体」になる。Webで販売すれば「商品画像で店舗名と住所が宣伝できる」。
さっそく伊東さんがデザイン作成を開始。ところが気持ちだけが先行してしまったのか「今見るとめっちゃ恥ずかしい」と自身も語るレベルに。

コラボTEEは白と黒の2色展開

林さんのアドバイスもあってセカンドデザインで今の形が出来上がったという。

実はこの段階で二人はまだ上司にも、キヨさんにも話をしていなかった。「キヨさんの性格上、断られる可能性もあった」と林さんは言う。恐る恐るデザインをキヨさんに見せると「これは二人にメリットあるの?」と。売れれば自社にもメリットがあることを伝えると、喜んでくれたという。

ここからは「尋常じゃない速さで進められた」と伊東さん。取引先もすぐにいいねと言ってくれて感動したし、通常1ヶ月はかかる製作工程も3週間ほどに縮めてもらえた。
さらに、自社のメンバーも積極的に動いてくれた。Web担当はサイトの目立つところにコラボTEEを掲載、インスタグラムへも投稿してくれた。また各地の店舗スタッフも協力してくれた。

「ロイヤリティの話とか湿っぽい話をせずに『恩返し』したい、とだけ皆に伝えたことが良かったんだと思う」と林さん。「社会貢献とか堅苦しいことを言うブランドではない。やっぱおもろいって言われることをしよう。」と、二人が原点に立ち返ったことが良かったようだ。

おかげでWeb販売用の約250枚は発売前にすべて予約で埋まった。初回オーダーの500枚はほぼ完売状態で現在追加生産している状況だ。

想像以上の反響に驚いた二人。このコラボTEEで一番嬉しかったことはと聞くと「お店が再開したら行ってみたい、と多くの人に言われたこと」だという。「いつかこのTシャツを着た人だけでこのお店をいっぱいにしてみたい」と語る。

ここまで順調に来たプロジェクトだが、実は最後まで上司には正式な許可をもらっていないという。ただ、「このコラボTEEについての投稿に上司から『いいね』がついていたんです。これはもう『承認ハンコ』以上の価値があると思うんです。」と笑う。

「二匹目のドジョウは狙いたくない」と言う二人はこの形でのコラボTEEは「これだけ」にすると言う。彼らの次の作品にも注目したい。

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左から林優太さん、星野清彦さん、伊東清和さん

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