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【寄稿】カメラを持つこと、写真を撮ること

2020.5.25

STAY HOME、新しい生活様式を!と言われる現在。私たちは、これまでの経済成長ベースの価値観を見直して、幸福度を中心に据えたライフスタイルへのシフトを、本気で考えてみるべきだと思います。

こんな逸話があります。
南の小さな島の漁師と、そこを訪れた著名な経営コンサルタントとの会話

コンサル:「なぜ採った魚を冷凍して輸出しないのですか?」
漁師:「輸出すると何がいいんだい?」
コンサル:「たくさん売れて儲かりますよ、」
漁師:「儲かると何がいいんだね?」
コンサル:「船を増やして人を雇って魚を採らせることができます、あなたたちは危険な海に出ないでもいいのです」
漁師:「海に出ないで、俺たちはなにをすればいいんだい?」
コンサル:「毎日夕陽を見ながら、うまい酒が飲めるじゃないですか」
漁師:「それは、俺たちが毎日やっていることだな」
コンサル:「・・・」

私たちの不安は、経済成長が止まることではなく、止まったときの過ごし方がわからない畏れの部分が大きいのかもしれません。

さて、一方で、ビジネスの世界で今、アートがとても注目されています。

左脳だけでたどり着いたブルーオーシャンと思った所には、すでに賢い先行者がたくさん泳いでいます。ロジカルな思考は課題解決には有効ですが、ビジョン設定には不向きです。経営に品位が求められる時代、経営フィロソフィーは、社会に対する美意識から創られると言っても過言ではありません。そのために、今、経営にアート志向を持ち込む重要性が注目されているわけです。

上記、ライフスタイルの見直しと、ビジネスの中でのアートの役割の2つの流れの中で、今、写真を“趣味”という括りをいったん外して見直してみることを提案します。

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カメラは「撮る道具」ではなく「見る道具」だと言います。確かに、毎日カメラを持ち歩くと、普段気に留めなかったような日常の景色に目が止まるようになります。

ある写真家は毎日、空を撮っていますが、その意味を「光への感度を高めておく素振りのようなもの」と言います。また、須田一政「角の煙草屋までの旅」は、近所の病院で入院生活を余儀なくされた写真家が、半径数百メートル内の風景を撮った有名な写真集です。

カメラが趣味というと、有名な絶景スポットで三脚を並べているおじさん達というイメージを持つ人もいると思いますが、絶景は身近なところにあるのですね。

ということで、今回、写真を趣味としない方へ、2つの提案をしてみます。

(その1)3か月間、毎日最低1枚の写真を撮ってください。

自宅の窓からでも、買い物の途中でも、通勤途中でもいいです。撮るものがなかったら、その日の食卓でも構いません。まずは3ヶ月。そして、最低半年そのまま保管して、半年後に見直してみてください。きっと自分だけの大切なものが写っているはず。スマホでも構いませんが、できればカメラがお薦めです。

(その2)気になった写真を一冊買ってみてください。

それを、オフィスでも自宅でもいいので、いつでも手に取れる場所に置いて、暇なときにパラパラと眺めてみてください。

もしかしたら世の中の見え方が変わるかもしれませんよ~  では、また!

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Contributor

野口 智弘

株式会社リコーでカメラ事業を担い、 GRをはじめTHETA、PENTAXブランド全般に関わる。
専門は経営、商品企画、マーケティング 特にファン・コミュニケーションを得意とする。
2019年より株式会社アマナにて写真ビジネス全般のプロデューサーとして現在に至る。