トップページ
好き勝手ローカル線の旅 オンナの酒鉄
好き勝手ローカル線の旅のトップへ
第5回 広島県 広島電鉄宮島線 小泉本店
地図 上信電鉄 聖徳銘醸 広島の世界遺産、宮島・厳島神社の御神酒を造っている酒蔵があると聞き、広島電鉄宮島線に揺られて、草津駅近くの小泉本店を訪ねました。
電車は、広島駅を出発した後、原爆ドーム前を通り、三角州を横切ります。西広島駅までは道路の真ん中を走る路面電車。そこから専用軌道の宮島線となり、海に迫る山のふもとを縫って宮島口まで続きます。
車掌さんのいる電車は日本全国でも数少ないのではないでしょうか?!
原爆ドーム前を走る路面電車 草津駅は専用軌道
小泉本店は草津駅から徒歩5分ほどでした。1945年8月6日の原爆投下時、草津は爆心地から約4キロ。それでも強い爆風が吹いたといいます。その風にも耐えた美しい建物がどっしりと構えていました。
町でも数少ない洋館を持つ小泉本店 冷んやりとした酒蔵
酒蔵には「厳島神社造酒所」の看板が 案内してくださったのは、専務さん。「もともとは広島県の東部、三原市小泉町の出身だと聞いています。その後、毛利氏の広島進出とともに現在地に移り、天保年間(1830~1844年徳川家斉の時代)にはすでにこの地で酒造りをしていたといいますから、170年ほどの歴史があるのではないでしょうか?」。中国山地の伏流水が地下水となって湧き出ており、鉄分が少なくミネラルの多い水は酒造りに最適だとか。「酒造米は、広島県産の『千本錦』、酵母は広島県立総合技術研究所食品工業技術センターが開発した『せとうち21』を使っていますから、純粋な『広島のお酒』ですね」。

広島のお酒の特長は、「きめが細かい・のどごしがよい・コクがあり、うまみがある・飲みあきしない」こと。酒を仕込む時期の気候が寒からず暖かすぎず、酒造りにぴったりなのだそうです。小泉本店の代表銘柄は「御幸(みゆき)」。明治18年8月1日に明治天皇が行幸した際、小泉本店で休憩したのを記念して造るようになったお酒です。厳島神社の御神酒も「御幸」です。
ところで、ソムリエの協力によって新しいお酒の分類方法が編み出されているのをご存知ですか?
  1. 香りの高いタイプ(薫酒)
  2. 軽快でなめらかなタイプ(爽酒)
  3. コクのあるタイプ(醇酒)
  4. 熟成タイプ(熟酒)
この4つのタイプすべてを造っている数少ない酒蔵が小泉本店だそうです。しかも、これらを実際に試飲できるのも小泉本店の特長。「社長が趣味の美術絵はがきの展示を兼ねて、4タイプの日本酒が味わえるギャラリーを建てたのですよ」と専務。ラウンジにはグランドピアノもあり、「地元の公民館と協力して、ジャズコンサートも開きます」とのこと。地域の文化の拠点になっています。
絵はがき美術館「みゆきギャラリー」(左) 試飲させていただいた4タイプの日本酒
ギャラリーでは社長さんが案内してくださいました。「日本酒は酔っぱらうことが目的ではありません。料理と一緒に楽しむものです。4タイプそれぞれに合った料理のご提案をしていますから、ぜひ参考にしてください」。
参考)日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会のホームページ
http://www.sakejapan.com/index.php?option=com_content&view=article&id=22&Itemid=43

「最近は燗をして飲む人が少なくなりましたが、私は、日本酒のうま味を引き出すのは『燗』だと思っています」と社長さんが力を込めます。中でも「カン・ロック」はおすすめだとか。それは、燗酒を熱いまま氷についだもの。燗をすると日本酒がまろやかに香り立つため、口当たりの良いロック酒になるのです。私も帰宅して「カン・ロック」を家族にふるまったところ、「こんな日本酒初めて!まろやか〜!」と好評でした。
宮島にちなんだ「宮島街道」「宮島さん」の銘柄も 厳島神社の御神酒にも採用されている「御幸」
社長さんは「うまい酒とは『水のように抵抗なく飲めるお酒』だと言われていますが、なかなか難しいですね。常に研究の毎日です」と言います。「『酒は生まれたその土地を離れるのを嫌う』と言いますから、ぜひ広島に来ていただいて、広島の地産の料理と広島のおいしいお酒を楽しんでいただきたいと思っています」。1年を通して気候が穏やかな広島。原爆ドーム・広島平和記念資料館や宮島への観光コースに利き酒を加える手もありますよ?!
世界遺産宮島の鳥居 小泉本店のお酒も買える宮島の地酒店

小泉本店

天保年間創業の老舗。代表銘柄は「御幸」。古くから安芸の宮島の厳島神社造酒所として御神酒を造っている。また、広島の酒造米、酵母を採用し、広島の風土に根ざした酒造りをめざしている。酒蔵は非公開だが、隣接するギャラリーで試飲が可能(要予約)。お酒の発送もしてくれる。
詳しくはホームページで。

小泉本店ホームページ

広島電鉄宮島線

広電西広島駅から宮島口まで16.1kmの専用軌道を走る。2011年には、宮島口までの開通80周年を祝って、地元のマスコミ「西広島タイムス」が「宮島街道」というブランドを立ち上げ、小泉本店も「宮島街道」という銘柄のお酒を造っている。宮島を訪ねるなら、「一日乗車乗船券」や、「宮島フリーパス」がおすすめ。
広島電鉄ホームページ
宮島街道ホームページ

ページトップ
ローカル線の旅のトップへ